2024年08月22日サンキ建設
45年以上前に建てられた木造住宅を高気密高断熱住宅に
リノベーションするプロジェクトでは、
松尾式床下エアコン・小屋裏エアコンの空調システムを導入しました。
松尾式全館空調とは、松尾設計室の松尾和也氏が開発したもので、
床下と小屋裏に1台ずつエアコンを設置し、全館空調を行います。
夏は、小屋裏エアコン1台で家全体を冷房し
冬は、床下エアコン1台で家中をあたためます。
住宅展示場などで設置されている全館空調システムは、
ハウスメーカー専用の設備のため初期コストもランニングコストも
高額になることが多いですが、このシステムでは一般的に
流通している設備を使用しており、コスト面、メンテナンス面共に
運用しやすいシステムとなっています。
壁掛けエアコンを利用した全館冷房には、
吹抜の上部や階段の上部などにエアコンを設置し
家中に冷気を送るという方法が最もシンプルな方法ですが、
この場合各部屋のドアを閉めると部屋の中に冷気がまわりにくいため、
部屋間で温度差が出てしまいます。
また、ロフトに壁掛けエアコンを設置し
各部屋をロフトで繋いで冷気を送る方法もあります。
この場合は、ロフトを介してそれぞれの部屋がつながっているので、
部屋の音が伝わりやすくプライバシーが確保しにくくなります。
松尾式小屋裏エアコンでは、小屋裏から各部屋へダクトを使って冷気を
送るため、それぞれの部屋に均等に分配され、扉を閉めていても
温度ムラが少なくなり、各部屋のプライバシーも保つことができます。
さらに一種換気も組み合わせて使用するため、湿度を低く保つことができ
不快感も軽減することができます。
ただし、このシステムを正常に稼働させるためには
建物の気密性能はもちろん、間取りの設計や冷暖房負荷の計算など
適切な空調計画をすることが重要です。
全館空調は建物の断熱性能と気密性能がある程度確保できていないと
機能しません。家の中の空気を均等にしても建物に隙間があると、
そこから外気が出入りしてしまい、結露が発生してしまうリスクも
あります。
一般的には、断熱性能は等級6(HEAT20 G2)以上、
気密性能はC値0.5程度以下が目安になります。
今回のプロジェクトでは、以前のブログでもお伝えした通り
・断熱性能7(UA値 0.26) ※現在の最高等級
・気密(C値)0.4
としています。
今回のリノベーション物件では、経年劣化により柱や梁が歪んでおり
そのままでは気密を確保するのが難しかったため
構造材の入れ替えや、下地材を入れ建物がまっすぐになるよう
調整しました。
また、配管廻りなど細かい箇所まで気密処理をしています。
モデルハウスは11月頃オープン予定です。
ぜひ松尾式全館空調の快適さを体感しにお越しください。