2016年10月01日サンキ建設 布垣 友義
今回は前回の続きで、
一般住宅を得意としている設計事務所 について説明します。
なぜ「専門」と書かずに「得意」という言葉を使っているかというと、住宅の場合の設計・監理料は一般的に工事請負金額の10~13%が多いのですが、3000万円の工事代金の家の場合、300~390万円となります。
年間4棟の設計をした場合、1200~1560万円の売上となります。
事務所経費や人件費等を差し引くとそんなに利益が残りません。
住宅を得意としているという理由はそこにあるのです。
どうしても金額の大きい設計をせざるを得ないのが実情です。
住宅の設計だけをしたくても、それだけでは経営がなりたたない場合が多いのです。
規模によるすみ分けも出来ていて、
所員がたくさんいる事務所は、ビルやマンション、公共工事といった大型建物を得意としています。
またそういった大型建物は多人数で、各専門分野ごとに手分けして手掛けないと時間的・ノウハウ的・経営的にも成り立ちません。
必然的に、住宅を中心に設計する事務所は少人数となることが多くなります。
構成としては、所長とアシスタント1~2名というところが主流です。
そうなると当然所長の好みが設計に大きく反映されますので、その好みや人柄・フィーリングがお施主様と合うかどうかを見極めることが大変重要となります。
次は視点を変えて、家創りの考え方についてです。
「家創りのイロハ-7」で説明したように、家を「商品」と呼ぶか「作品」・「物件」・「家創り」と言うかで家に対する想いが全く違うということです。
一般住宅を得意としている設計事務所は「作品」か「家創り 」と呼ぶことが多いと思います。
「作品」とは芸術的な考え方で、デザイン中心に設計します。
「家創り」は、施主様の住みやすさを優先して設計します。
「作品」にこだわるデザイン事務所と呼ばれている設計事務所は、建築雑誌に掲載されたりして美しさを競うことが多くなります。
それが事務所の経歴・特長になるからです。
この考え方が間違っているとは思いません。美しい建物は何年たってもやはり美しいものです。
本当に細かい部分にまで神経を行き届かせ、ディテールにこだわり、プロが見ても「すごい」と唸らせる建物。弊社もそういった建物を施工させていただいた経験も多くあります。
そういった建物をお望みの方は「この選択肢もあり」ではないでしょうか。
ご希望の方には、施主様のフィーリングに合う設計事務所をご紹介させていただきますので、お声掛けください。
設計料の交渉もさせていただきます。
これは値切るのではなく、業務を分担するようにするから出来るのです。
要は、施主様がどのような建物を建てたいのかによって、正解が変わってくるということです。
そこが家創り の難しいところでもあり、楽しいところでもあるのではないでしょうか。
次回は、工務店について説明していこうと思います。