2024年07月24日サンキ建設
前回のブログでもご紹介した、45年以上前に建てられた木造住宅を
高気密高断熱住宅にリノベーションするプロジェクトでは、
現在の断熱最高等級である断熱等級7を目指しています。
この値はHEAT20ではG3となります。
断熱等級7は、UA値0.26以下が求められます。(京都市内の場合)
UA値とは外皮平均熱貫流率の略称で、外壁や窓、屋根などの面から
熱がどのくらい逃げていくかを示したものです。
この値が小さいほど熱が逃げにくく高断熱ということになります。
他にも条件はありますが、UA値0.26まで断熱性能をあげると、
エアコン一台でも部屋間の温度差はほとんど感じないといわれています。
付加断熱とは、一般的な充填断熱の上からさらに断熱材を張り付ける
工法で、二重断熱、ダブル断熱ともいわれます。
付加断熱にすることで熱損失を抑えられ、高い断熱性を確保できます。
今回は壁の内側にはグラスウール、外側にはミラフォームラムダを
使用しています。
グラスウールは、材料費・施工費が安価で切断などの加工がしやすい
といったメリットが挙げられますが、施工者による精度の差が出やすく、
性能を正しく発揮させるためには正確な知識と施工が必要になります。
屋根断熱にはセルロースファイバーを使用しています。
垂木間を通気層とし、その下にセルロースファイバーを
隙間なく吹き込みます。
屋根断熱の場合、壁と同じグラスウールを使って断熱を
しようとすると下からハシゴを登って作業をするため、
足場の不安定なところで上を向きながらの作業となり
施工精度や安全性が確保しにくくなってしまいます。
その点、吹き込みの断熱材は専用の機械で吹き込むので
細かい隙間まで断熱材が入り込み、
屋根面でも高精度で施工することができます。
ちなみに、セルロースファイバーもグラスウール(高性能
グラスウール16K)も断熱材としての数値(熱伝導率)は
およそ同じ程度です。つまり同じ厚みで施工した場合の数値
(熱伝導率)も同じになります。
セルロースファイバーだからあたたかい、というわけではないのです。
(同じ精度で施工した場合)
通常の充填断熱の場合は、断熱材の室内側に防湿シート、
外部側に防水シートを張っています。
これにより外部からの雨などを塞ぎ、壁体内に水や湿気が
はいらないようにしています。
今回のリノベでは壁体内部の結露を防ぐために、
断熱材の室内側に調湿機能がある防湿シートを使用しています。
これは調湿シートと呼ばれ、壁の中がある一定の湿度に達すると
目に見えない細かな穴が開き、そこから湿気が抜けることで
壁体内の湿度を下げるというはたらきがあります。
冬など室内の湿度が低いときは防湿機能が働き、
室内から壁内への湿気の移動を妨げ、内部結露(冬型結露)を防止し、
夏など外気の湿度が高いときは透湿機能が働き、室内に湿気をとおし、
壁内湿度を調整することで内部結露(夏型結露)を抑制します。
季節ごとの湿度変化に対応し、壁体内結露を起こりにくくする
という仕組みです。
熱や湿気は高いほうから低いほうへ移動する性質があります。
室内・壁体内・屋外の間を温度と湿度がどのように
移動していくのかを見極め、部材ごとの機能をきちんと理解し
適切に使うことが大切です。
また、夏と冬では温度や湿度の条件が室内と室外で逆転するため、
その点も考慮する必要があります。
一般的に木材や断熱材は湿気や水分に弱く、きちんと施工していないと
カビや劣化の原因になることもあります。
湿気対策を徹底することで材が長持ちし、
快適に長く住み続けることができます。
また、防水と防露をしっかりと行うことによって、
結果的に気密性も確保することができます。